こんばんは、キタガワです。
まず最初に断っておくと、僕は平手友梨奈のファンである。……いや、平手友梨奈というより『てち』と言うのが正しいのかもしれない。
『てち』というのは欅坂46における彼女の愛称である。僕が彼女の虜になったのは、初めて欅坂46のライブに参戦したときだった。男勝りの眼光と憂いを帯びた表情に、目が釘付けになった。そんな彼女はかねてより「女優をやってみたい」と話していた。
で、僕はといえば応援したい気持ちはあるものの、その特異な性格や雰囲気から、「てちに合う役なんてあるのか……?」という不安もあった。
そして最近めっきり姿を見せなくなり心配していた矢先の、映画『響』の主演決定の一報。「これは観るしかねえ!」と思い、つい先程観てきたわけだ。
結論から書くと、かなり面白かった。そして平手は完全に『女優・平手友梨奈』であり、懸念していた演技も完全にハマり役だった。最初の方こそ平手が出てきた瞬間に「キャー!てちー!」と叫びたい衝動に駆られたが、物語が進むごとに全く違和感がなくなり、映画に溶け込んでいた。
さて、ここからは映画の紹介に移る。ネタバレは公式PVで明かされているレベルに留めるつもりなので、安心して観てほしい。
物語は出版社にひとつの小説作品が届いたことから幕を開ける。差出人は『鮎喰響』。しかし電話番号やメールアドレスなど、それ以外の個人情報は一切書かれていなかった。
作品は衝撃的なものだった。誰もがその文才に驚き、新人賞も夢ではないと声を揃えた。しかし応募規定に本本から反するものであり、個人情報も何も分からないので連絡も取れない。さて、どうするどうなる!?
……という流れである。もうこの冒頭からやられた!と思った。
そしてこの映画で特筆すべきは主人公、響の性格である。
これからの話は内容と全く関係ないので安心していただきたいのだが、例えばお笑い芸人がステージに立ち、あまりに閑散とした雰囲気に堪えきれず、ネタもせずに「……ありがとうございましたー」と去ったとする。
もしあなたが客なら「何あれー」とひとしきり話題にしたあと、何事もなかったかのようにその場を去るだろう。
しかし平手演じる響は違う。それを観た瞬間に芸人をシュバババ!と追いかけ、「ねえ、ネタやってよ」と真顔で迫る。「えっと……」と困惑する芸人に対し、「早くして」と連発。人も大勢いる。何よりこんな状況だ、ウケるはずがない。で、勇気を振り絞ってネタを披露したならば、響は真顔で「うん。つまらなかった」と一言発し、さっさと立ち去るだろう。
もし芸人が「出来ませんよー」などと言ったなら、恐ろしいことになるだろう。響はぐいっと距離をつめ、「何でやらないの?ネタやるために出てきたんでしょ?そんな半端な気持ちでやってるの?」と数十分間のお説教タイムが始まるに違いない。
お説教タイムに辟易し、無理矢理立ち去ろうとしても無駄である。響は自分が納得する理由が聞けるまでは、どこまでも追い続けるだろう。
……ここまで見ていただいたらもうお分かりだろう。響、相当めんどくさいのだ。以前『恋は雨上がりのように』の感想を書いた際も「こいつめんどくさい」というようなことを述べたが、響はその100倍ヤバい。
この映画で描かれるのは、現代社会の生きにくさとそれに抗う一人の少女の物語である。自分の本心がさらけ出せない人や、現在進行形で人間関係に悩んでいる人には確実に刺さる映画だ。
少しでも気になった人、ぜひ。
↓映画『響ーHIBIKIー』公式PVはこちら↓