キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

映画『イエスマン "Yes"は人生のパスワード』感想(ネタバレなし)

こんばんは、キタガワです。


人は誰しも、計算高く物事を考えるものである。


「今から遊び行っていい?」と聞かれたときには、洗濯物も取り込んで髪の毛一本も落ちていない状態にも関わらず「いやー、部屋が汚いからなあ。本当に足の踏み場もなくて。ごめん!」と断ったり、店長から突然「バイト入ってくれん?」などと言われようものなら「今忙しくて……」とビールをあおりながら、ゲームのコントローラー片手に断ったりする。


大人になるとはこういうことだ。純粋だった子供時代の自分は、もういない。いるのは本音と建前を駆使して、何とか穏便に生活しようともがく悪どい大人である。


要はそれほど、現代はストレス社会なのだ。何でも「Yes!」と言っていたら、それこそ自分が倒れてしまう。だからこそあれやこれやと考えを巡らせて、作り笑いを浮かべながら生きている。そういうものなのだ。

 

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だが今回紹介する『イエスマン "Yes"は人生のパスワード』という作品は、現代に生きる僕らとは真逆を行く。


海外のコメディ映画なのだが、主人公は何にでも「Yes」しか言わない。普通の人なら絶対に断るようなことも、ひとつ返事で承諾するハッピー野郎である。


だが物語の冒頭、主人公である彼も、かつては自分の意思を持つ立派なサラリーマンだったことが明かされる。しかしそこにあったのは、虚無感だけだった。愛する彼女を失い、楽しいこともない。毎日DVDをダラダラ観るだけの、変わり映えのない退屈な人生を送っていた。


そんな彼を救ったのが、「何でも"Yes"と言う」との教えであった。


この映画では、何でも「Yes」としか言わない男の、ドタバタな人生を追体験できる。クスリと笑えて、同時に人生感を考えさせられる良作である。大丈夫。どれだけのめり込もうが、僕らがこんな行動を取ることは絶対にないのだから、安心して観てほしい。


全部Yesと言う極端な物語の果てに何があるのか、ぜひ自身の目で確かめてほしい。

 


イエスマン "YES"は人生のパスワード(字幕版) (予告編)