キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【ライブレポート】でんぱ組.inc コスモツアー2018~惑星探査~@広島JMSアステールプラザ・大ホール

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5月2日、でんぱ組.inc『コスモツアー 2018』の広島講演に行って来たので、今回はその模様をレポートしたいと思う。

 

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当たり前だが、ネタバレが多分に含まれているため、ツアー参加予定の方は絶対に見ないでほしい。何故かというと、おそらく今回は曲ごとの繋ぎやセットリストがほぼ変わらないツアーになるからだ。


……それではどうぞ!

 

定刻から5分ほど経つと、突如会場内に緊急を知らせるサイレンが鳴り響く。観客が驚いていると、暗転。


画面一杯に張られたスクリーンに、アニメのOPのような映像が投影される。よく見ると、全員メンバーを2次元化したキャラクターのようだ。


『でんぱ組.inc コスモツアー 2018』の文字が表示されると、観客は大歓声で迎える。スクリーンが閉じ、そこに立っていたのは7人のメンバー。いよいよだ。


1曲目はまさかの『ギラメタスでんぱスターズ』。でんぱ組.inc新章を告げたこの曲を、初っぱなの1発目に持ってきたのである。

 


でんぱ組.inc「ギラメタスでんぱスターズ」LIVE Movie(2017.12.30 at 大阪城ホール)


レーザー光線とまばゆい照明、サイリウムの海に埋もれながら、明るく歌い踊る彼女たちがそこにいた。


〈いっぱい伝えてえなあ 口がついてこねえなぁ〉


〈つまりは新しいって 最高だ〉


新メンバーとして根本凪、鹿目凛が加入して初のツアー。集まったファンの中には不安な面持ちの人もたくさんいたはず。僕もその中の一人だ。


だが、この曲を聴いた瞬間、そんな些細なことはどうでもよくなってしまった。気付けば目を潤ませながら口ずさんでいる自分がいた。


このとき、会場に集まったファンは確信したはずだ。今日はとんでもないライブになると。


間髪入れずに超高速ロック『破! to the Future』、結成初期からの代表曲『Future Diver』と続いていく。


と、ここまでで気付いたことが2つある。


まず1つ目は、最上もがパートを根本、もしくは鹿目のどちらかがカバーして歌っているということ(基本的には根本)。


『既存曲を歌うメンバーが減り、その分1人が歌う』のはまだわかる。だがでんぱは違って、2人増えたのだ。「1人だけが目立って、もう1人は見せ場が無くなるのでは?」と思っていたのだが、全くの杞憂だった。


くるくると歌い手を変え、平等にパートを割り振っている。7人体制のでんぱ組.inc、なかなかだ。


2つ目は、既存曲の振り付けが所々変わっていること。


これについてはメンバーが増えたので仕方ないのだが、やはり2人1組でハイタッチを交わす振り付けなどは必然的に誰かが余ることになるので、その瞬間どうしても、最上もがの存在を思い出してしまう。


だが逆に、扇形に広がる振り付けに関しては、7人が活かされていると感じた。先頭に古川未鈴が立ち、3人ずつ左右に広がる美しさは、7人ならでは。家でCDを聴いているだけでは絶対に分からない『体験』である。


3曲が終わり、ここで初のMC。「萌えキュンソングを世界にお届け!でんぱ組.incでーす!宜しくお願いしまーす!」というお馴染みの紹介のあと、惑星マシ・ローヒ(広島)に辿り着いたことの感慨を語る。


その後はメンバー全員が個別に自己紹介。それぞれの詳細は省くが、中でも面白かったのは古川の「序盤でポニテが取れた」というもの。それほど激しく、ハッピーな雰囲気に包まれていることを伝えたかったと思うのだが、その都度メンバーからのツッコミが入り、てんやわんやに。仲いいなあ。


新メンバーの2人に関しては、観客側のコールの理解がまちまちだった印象。今回7人体制のライブが初めての観客が多かったはずなので、まあこれは仕方ない。回数を重ねるうちに慣れるだろう。


と、ふいに丸い何かを持ってくる成瀬瑛美。「セーラームーンのアレみたい」との発言から、続いての曲は『ムーンライト伝説』。


有名な曲のカバー、ということになるのだが、CD音源化もされていないこの曲。原曲の根っこは残しながらも、でんぱ流の極悪EDM曲に仕上げている。観客はみな口をポカーンとさせながらサイリウムを振っていた。


このあとも曲は続くのだが、最も観客を引き付けたのはやはり『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』だろう。


この曲のメインは藤咲彩音なのだが、宙を舞ったり演技したりと、とにかく印象に残る。ひとつの演劇を観ているようだった。


前回のレビューでも書いたが、この曲はとにかく異質である。さほど盛り上がるわけでもないし、リズムも独特。加えて独特の振り付けが、観客の目を離させない。人数を活かした素晴らしい振り付けだ。


地面に倒れた藤咲が手をパーにした状態から、指を折り畳むごとにメンバーがひとり、またひとりと倒れるシーンは必見。演奏が終わると、観客はみな一様にほっと息を吐き、直後に思い出したように拍手を送った。


そして今回のツアーの目玉『質問コーナー』へ。


これは『新メンバーである根本と鹿目が、先輩たちにツアーの極意を聞く』というコーナーなのだが、広島で選ばれたのは成瀬。


まず根本から質問。内容は「『バビョッ!』って何ですか?」というもの。成瀬の口ぐせではあるが、公式では何も名言されていない。確かにファンも気になっていた部分だ。


ちなみに成瀬の回答としては「特に意味はない」とのこと。「当初は楽しいときに使っていたが、今は何にでも使える」らしい。


次いで成瀬が「じゃあ2人も新しいキャラ付けをしよう」と提案。根本は嘘を付いた際に『ねもうっそー!』、鹿目は『ぺろりん☆』と言うことに決定。


さらには『成瀬のハイテンションなキャラクターは作り物なのか?』についても話が及んだが、相沢梨沙いわく『それ企業秘密じゃない?話して大丈夫?』とのことだったので、ここでは伏せておく。「今日はカメラも入ってないから、広島の人にだけ特別だよ」と語っていたので、広島に参戦した人たちはラッキーだ。


いちいちハイテンションで声高に話す成瀬。何というか僕は、彼女が凄く好きになった。


その後も『成瀬のお尻キャラ問題』や『メンバーの水の飲み方問題』について語られ、メンバー総出でてんやわんやな状態に。


ちなみに僕は古川推しなのだが、古川が水を飲むときに片手を腰に当ててグイグイ飲む、いわゆる『風呂上がりの麦茶』の感じで飲んだシーンは「うおお!」となった。ありがとうございます。


……このコーナー、新メンバーの垣根をぶち壊す役割を果たしていたと思うのだが、これ以降、本当に良い環境になった。初めは「新メンバーどうなの?」と思っていた人も多かったと推測するが、次第に「あれ?最初から7人だったっけ?」と錯覚するほど、自然に馴染んでいた。素晴らしい。


ここからはほぼノンストップで曲が進行。


サビの「ぜっぜっぜっ絶好調」の部分で会場が一体化した『NEO JAPONISM』、「サイリウム、ピンク出してください!」との古川の指示でスタートした『サクラあっぱれーしょん』など、まるでベスト盤の再現のような磐石のセットリストで攻めていった。


本編ラストは『あした地球がこなごなになっても』。思い返せば『ギラメタスでんぱスターズ』から『あした地球がこなごなになっても』で終わる、最初から最後まで宇宙をモチーフにした構成だった。


アンコールでは、ひとりの観客が発した「でんぱ、広島、最高です!」のコール&レスポンスが会場全体に広がり、一体感を産み出していた。


だが、メンバーはなかなか出てこない。実際の時間にして、10分以上は待ったと思う。すると、スクリーンに映像が投影される。


どうも、宇宙ロケットについての説明がされているらしい。聞き手は藤咲。専門的なマシンガントークはどうも難しすぎるらしく、画面上の2次元藤咲は「あー、はい……」、「すごいすね……」と適当な相槌を打っていた。かわいい。


一連の映像が終わると、照明がつく。


しかしメンバーはステージにいない。観客はみな一様に周囲を見渡す。すると……。いた。観客席に……。


アンコール1曲目は『惑星★聖歌~Planet Anthem~』。観客席を練り歩きながら歌うメンバーに、観客は大興奮。特に夢眠ねむが隅から隅まで渡り歩いていた印象。


ステージに上がると、続いては『でんぱれーどJAPAN』。スクリーンに表示される合図に合わせて、みな大盛り上がりだ。ちなみにこの時点でラスト1曲は決まったようなものなので、このときは観客一同、心に静かな炎を宿していたと思う。多分次は夢眠が何か……。言うよね……。「この先大丈夫かな」とか……。ね……。


『でんぱれーどJAPAN』終了後、古川が今後スタートする対バンツアーの説明を始める。対バン相手を列挙し、宣伝を終えたところで、夢眠が語る。『はあー、でもこの先、大丈夫かな……』。もうこの時点で、観客のボルテージは急上昇である。


「対バン相手、誰だと思ってる?スカパラさんだよ?たくさん楽器持った人が何人もいるんだよ?私たち見てよ。何が演奏できる?リコーダー?」と笑いを誘いながら、「あっ!そろそろ最後の曲、はじまる!」の合図から、正真正銘ラストの『でんでんぱっしょん』へ。


でんぱ組.inc「でんでんぱっしょん」幕神アリーナツアー2017@幕張メッセ

 

途中『大丈夫!マシ・ローヒのみんながいるし、仲間だもん!』との成瀬の発言もあり、この日最高の盛り上がりに。ツアー広島編は、大団円で幕を閉じた。

 

……これでライブレポートは終わりだが、僕は今回のツアーに参加して、わかったことがある。

 

それは『もうでんぱ組.incは心配ない』ということ。

 

以前ブログでも書いたように、個人的には最上もがの脱退はショックだったし、即座にメンバーを2人追加するのも納得いかなかった。しかし今回ライブを観て、素直に「いいじゃん」と思えたのだ。まだライブを観ていない人は、一度は体験すべきだ。きっと考え方が変わるはずだから。


どこまでも行け!新生でんぱ組.inc!

 

 

【でんぱ組.inc@広島 セトリ】
ギラメタスでんぱスターズ
破! to the Future
Future Diver
ムーンライト伝説(カバー)
バリ3共和国
ちゅるりちゅるりら
ユメ射す明日へ
最Ψ最好調!
Ψ発見伝
おやすみポラリスさよならパラレルワールド
でんぱーりーナイト
VANDALISM
NEO JAPONISM
まもなく、でんぱ組.incが離陸致します
サクラあっぱれーしょん
くちづけキボンヌ
あした地球がこなごなになっても

[アンコール]
惑星★聖歌~Planet Anthem~
でんぱれーどJAPAN
でんでんぱっしょん