キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

【再掲】昔話『桃だろう』

こんばんは。過去のアメーバブログを見返したところ、コメントがたくさん来ていて嬉しくなったキタガワです。よく見ると全部出会い系でした。ふざけるな。

 


今回は少し趣向を変えまして、過去のブログの再掲をしたいと思います。


……というのも、僕は大学時代の2014年~2017年の3年にわたり、アメーバブログというブログを書いていまして。不定期ではありますが、更新を続けていたんですね。


で、久しぶりに確認したところ、恥ずかしい文章の中にも、まあまあ「面白いな」と思うものもあって……。


過去の遺産にするのももったいない!ということで、2015年の10月に書いたとある記事を再掲いたします。


ちなみに当時のこの記事のタイトルは『この作品はフィクションDEATH』でした。恥ずかしすぎて顔から火が出てちょっとしたボヤ騒ぎになるレベルです。


『キタガワの昔の作品も観たい!じゃないと睡眠薬がぶ飲みして死んでやるわ!』という方のために、最後にアメブロ時代のURLも貼り付けておきます。あとは個別に連絡していただければ、良い精神病院も紹介します。


ではどうぞ!

 

 

 

 

昔々、おじいさんとおばあさんがおりました。


ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。


山へ芝刈りに行ったおじいさんは、思いをめぐらせていました。


妻と結婚して50年。仲の良かった友人はみな、子どもを授かり一人立ちさせ、幸せな老後を送っています。


ですが自分はどうでしょう。未だ息子も娘もおらず、年齢的に子どもを授かることが難しくなったおばあさんと共に過ごすしかありません。


今の生活の楽しみは、エロ本を探すついでに芝刈りをするだけ。


おじいさんは、強い虚無感を感じていました。


一方、川へ洗濯に行ったおばあさんも、同様の虚無感を感じていました。


若かったころはさかんにハッスルしていたものの、子どもはできず、今は二人暮らし。毎日家事をこなし、ダラダラとテレビを見て寝るだけの生活。


おじいさんとの会話はほぼなく、つまらない生活を送っていました。


「おじいさんとの生活も限界かもしれないわねえ。」知らず知らず、そんな一人言を言いながら洗濯をしていました。


「そもそも家にドラム型洗濯機があるのに、なぜ川で洗濯する必要があるんでしょう……。」すいません、こういう流れにしないと話が進まないんですよ。


おばあさんがしばらく洗濯をしていると、川上から何やら流れてくるのが見えました。


「おやおや一体なんだい……。」よく見ると、それは大きな大きな桃でした。


それだけでも驚きですが、耳をすますと何やら聞こえてきます。


(どんぶらこ……どんぶらこ……)


音は、紛れもなくその桃の中から聞こえます。


おばあさんは言い様のない恐怖に襲われました。そして、脳裏に様々な思いが浮かび上がってきました。


衛生面の不安、ご近所への体裁、おじいさんへの説明など……


ですがおばあさんは考えました。この桃を食べてみたい、と。こんなにも大きな桃は、今後一生見ることはないでしょう。もし売ったらどれほどの値がつくかわからない。


そんな桃を、ここで見逃していいのか。


おばあさんは、桃を家に持ち帰る決意を固めました。


しかし、ここである問題が発生しました。桃を岸に上げる手段が思い付かないのです。


長年松葉杖で歩いていたため、腰は曲がり、思うように力が入りません。


そこでおばあさんは一旦洗濯物を川に敷き詰め、桃の行く手を塞ぎました。そしてかつてない速さ、それはまるでウサイン・ボルトのようなスピードで家に帰りました。


再び現れたおばあさんは、ショベルカーに乗ってやってきました。


「数十年前に取った大型車両の免許を、ここで使うとは思ってなかったよ!」おばあさんは人が変わったように笑いながら、桃に近づいていきました。


「くらええ!このクソ桃がぁ!」おばあさんは無理矢理桃を回収することに成功し、急いで家に帰ったのです。


家に帰ると、つい先ほど戻ったのか、おじいさんがお茶を飲んでいました。


おばあさんは鼻で笑いながら、「あんた!呑気なもんだねえ!」と激を飛ばしました。


おじいさんはたいそう驚いたことでしょう。目の前に血走った目でショベルカーを運転するおばあさんの姿があったのですから。


そしてその先端には桃。


おばあさんはおじいさんの前で急停止し、息巻きながら今までの出来事について説明しました。


するとおじいさんもみるみるテンションが上がり、桃を食べることに決めました。


庭に桃を置いた後、おじいさんは大きな肉切り包丁を取りだし、桃の前に立ちました。


「いくぞ……」とおじいさん。


「はい……」とおばあさん。


その間にも、桃からは「どんぶらこ……どんぶらこ……」という不気味な音が聞こえます。


おじいさんは、大きく振りかぶり、桃に一気に包丁を入れました。


するとその瞬間、周囲は閃光に包まれました。


おじいさんとおばあさんの意識は、そこでブツンと途切れました。

 

……三日後、別の村では、おばあさんが川で新聞を読んでいました。


「三成町にて大規模な原因不明の爆発が発生。高齢者二名が死亡」


「怖いねえこんなご時世に。」おばあさんは恐怖に顔を歪ませました。


おばあさんはふと川上を見上げました。すると、何か大きな物が見えました。


「あら、あれは……桃かしら。美味しそうねえ。おじいさんと食べましょう。」


期待に胸踊らせるおばあさんを尻目に、桃の中では、


「どんぶらこ……どんぶらこ……」


あの不気味な音が、鳴り響いていました。


END

 

 

 

キタガワの過去の恥ずかしいブログを見たい方はこちら
https://ameblo.jp/psychedelicrock0825/page-1.html