キタガワのブログ

島根県在住のフリーライター。ロッキン、Real Sound、KAI-YOU.net、uzurea.netなどに寄稿。ご依頼はプロフィール欄『このブログについて』よりお願い致します。

『めちゃイケ』、『おかげでした』最終回を観て、テレビ番組の終焉を感じた。

nintendogsでつけた犬の名前『ワン』

 

 


先日とんねるずのみなさんのおかげでした』、次いで『めちゃ×2イケてるッ!』が最終回を迎えた。『おかげでした』は30年、『めちゃイケ』は22年のも間レギュラー放送をキープしていた番組なだけに、衝撃は大きかった。

 

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これは僕が個人的に撮影した、『めちゃイケ』のラストシーンである。メンバー全員が卒業証書を持ち、笑顔で砂浜を駆ける。僕はこのシーンを観て、目を潤ませてしまった。ひとつの番組の最終回で涙を流すことは、この先いくつあるのだろう?

個人的な話で申し訳ないが、僕は今のテレビをほとんど観ない。観るとすればニュースくらいで、他は何曜日の何時に何がやっているかすら曖昧だ。

そして同時に思うのだ。『昔は良かった』と。今のテレビ……中でもバラエティー番組は、10年、15年前と比べると格段につまらなくなった。毎日テレビにかじりついていた以前の僕は、幻だったのだろうか。

ではなぜテレビはつまらなくなったのか。僕は大きく、2つの理由があると考える。

まず1つ目は、環境の変化である。

先ほど『最近はテレビを観ない』という個人的な意見を書いたが、実はこう感じているのは僕だけではなかった。テレビを観ない人は、今かなり多いそうだ。

Youtuberなど、テレビに代わる新たなバラエティー媒体の発達。育成や周回に忙しいスマホゲーム……。スマホ片手に様々な行動をする光景が、今や当たり前になってきている。近所のファミレスや駅の停留所に目を向けてみてほしい。スマホを手に持っていない人は、何人いるだろう。

加えて、録画や違法アップロードの利便性。テレビははっきり言って、集中して観る媒体ではない。友人のラインを返しながら。ツイッターのタイムラインを追いながら……。興味のある部分だけを観たり、興味のある部分までスキップして観るのが主流だ。

そして重要なのは、それらの見方は『視聴率に一切反映されない』という点。テレビはご存知の通り、視聴率至上主義である。視聴率を元に、年間予算が決められたり、2時間スペシャル特番に繋がる。

めちゃイケ』と『おかげでした』を例に挙げて見てみよう。昨今の両番組は平均視聴率が1ケタ台を推移していた。その状況が続いたために、打ち切られるのは当然と言える。

しかし同番組内のコーナー『めちゃギントン』や『全落オープン』は、動画サイトではかなりの閲覧数を記録している。よって、人気はあったはずなのである。だが番組にとって最優先されるのは、あくまで『視聴率』。2つの番組は、今の時代に殺されたといっても過言ではない。


そして2つ目の理由は『現在のテレビの在り方』そのものの問題である。

抽象的な表現で申し訳ない。これは良い表現をするなら『視聴者目線』。悪い表現をするなら『視聴者に媚びている』という意味だ。

話は少し脱線するが、10年前の金曜ロードショーを思い返してみてほしい。ターミネーター1、ディープブルー、化身、蒲田行進曲……。エロもグロもおかまいなく、今でいうR指定作品も平然と放送されていた。では、今の金曜ロードSHOW!はどうか。日本テレビが独占放送権を持っているジブリ作品や、人気映画ばかりが放映され、エログロシーンはカット。まるで『こうすれば怒られないマニュアル』に沿って進行しているような気さえする。

この変化の背景には、視聴者からの問い合わせや苦情が殺到したことが大きい。「子どもが真似したらどうするんだ!」、「悪影響だ!」など、年が経過するにつれ、苦情の電話が増えてパンク状態だったそうだ。座間市の遺体遺棄事件で「犯人は猟奇的なアニメの影響を受けている」と報道されたこと、エロシーンが含まれる映画が有害指定を受けたこと……。結果的に金曜ロードショーは、『当時の解説者である水野晴朗氏が「いい!」と思った作品を放送する』流れから、一般ウケするような作品の放送に変わった……。


……なんだか金曜ロードショーの話ばかりしてしまったが、話を戻す。

要は「そりゃテレビがつまらんくもなるわ!」という話である。常に苦情にビクビクしながら話を考えているわけだから。

めちゃイケ』や『おかげでした』の讃えるべき部分は、そういった世間の声に流されなかった点だと思う。

『子どもに見せたくない番組』で常に上位に食い込んでいた『めちゃイケ』は、炎上よろしくとばかりに過激な企画ばかりを考え、実行していた。

『おかげでした』では、出演者の事故が起きようとも企画を続行し、その全てを笑いに変えていた。

出演者だけでなく、スタッフ全員の笑い声が聞こえるバラエティー番組が、この先あるだろうか?純粋に楽しく、一丸となって番組作りに取り組んでいたに違いない。


そして迎えた最終回。

めちゃイケ』最終回にてゲストで出演した小栗旬は、「最近のお笑い番組はどう思いますか?」との問いに対し「面白いことがなかなか出来なくなってる環境」と答え、「ムチャする番組がなくなるのも悲しいですよね」と話した。

岡村隆史は、罰ゲームがイジメを助長するとして打ち切りになった『しりとり侍』にて、「このコーナーがなくなったことでイジメがなくなった」と皮肉った。

『おかげでした』最終回にて石橋貴明は、とんねるずの名曲『情けねえ』の歌詞を変え、「フジテレビをおちょくるなよ」と真剣な眼差しで歌った。

そして、両番組とも。炎上必至な企画と、炎上していたであろう企画を最後の最後まで流し、笑顔で幕をひいたのだ。


最後に、今回のブログのタイトルでもって、このブログを締めようと思う。僕は、

めちゃイケ』、『おかげでした』最終回を観て、テレビ番組の終焉を感じた。